← 一覧に戻る ↓ このページの最下段に移る

JIS X 0002:1987
情報処理用語(算術演算及び論理演算) 1987制定

番号 用語 定義 対応英語
02.01.01 発見的方法 一連の近似的な結果を用いて,意にかなう最終結果に近づいているかどうかの評価がなされる問題解決の探索的方法。例えば,一定の指針に従った試行錯誤による方法。 heuristic method
02.01.02 数学的帰納法 N以上の自然数を含む項に関する命題を証明する方法であって,まずその命題がNについて成立することを示し,次に,もしN以上の任意のnに対してその命題が成立するならば,(n+1)に対してもその命題が成立すると示すことによって証明する。 mathematical induction
02.01.03 形式論理 論証の中の用語の意味にかかわらない正当な論証の構成及び形式の研究。 formal logic
02.01.04 記号論理学●数理論理学 自然言語のもつあいまいさ及び論理的不十分さを避けるために選定された人工言語を用いて,正当な論証及び演算を行う学問分野。 symbolic logic●mathematical logic
02.02.01 スイッチング変数 有限個の可能な値又は状態だけをとりうる変数。(例)文字集合中の任意の1文字。 switching variable
02.02.02 引き数(1) 独立変数。 argument
02.02.03 引き数(2) 独立変数の任意の値。(例)探索かぎ,すなわち表中の項目の場所を識別する数。 argument
02.02.04 パラメタ 特定の用途のために,ある一定の値が与えられる変数であって,かつ,その用途を示しうるもの。 parameter
02.02.05 スカラ ただ一つの値によって特性付けられる量。 scalar
02.02.06 ベクトル 通常,スカラの順序付けられた集合によって特性付けられる量。 vector
02.02.07 範囲 ある量又は関数がとりうる最大値と最小値との差。 span
02.02.08 指数(対数の) 対数表示において正又は負の値をとりうる整数部。 characteristic (of a logarithm)
02.02.09 仮数(対数の) 対数表示における非負の小数部。 mantissa (of a logarithm)
02.03.01 自然数●非負整数 0,1,2,…のうちの一つの数。(注)自然数は,0からでなく,1から始まると定義する人もいる。 natural number●nonnegative integer
02.03.02 整数 0,+1,-1,+2,-2,…のうちの一つの数。 integer●integer number
02.03.03 実数 固定基数記数法において,有限又は無限の数表示を使って表現される数。 real number
02.03.04 有理数 ある整数を0でない整数で割った商である実数。 rational number
02.03.05 無理数 有理数でない実数。 irrational number
02.03.06 複素数 実数の順序対からなる数であって,a+ibの形で表現できる。ここで,a及びbは実数であり,i^2=−1である。 complex number
02.03.07 乱数●一様乱数 ある既知の数の集合から,どの数も同じ出現確率をもつように取り出される数。 random number
02.03.08 乱数列 各々の数が先行する数に関する知識からだけでは予測できない数列。 random number sequence
02.03.09 擬似乱数列 ある定義された算術処理によって決定された数列であるが要求されている目的に対しては実際上,乱数列であるもの。 pseudo-random number sequence
02.03.10 通し番号 列中のある項目の位置を示す整数。 serial number
02.03.11 ゼロ(データ処理における) いかなる数に加えても,又はいかなる数から引いても,その数の値を変えない数。(注)ゼロは計算機の中で異なる複数個の表現をとることがある。例えば,正又は負の符号付きゼロ(符号付きの数からそれ自身を引くと得られることがある。)とか浮動小数点ゼロ(その固定小数点部分はゼロであるが,浮動小数点表示の指数は様々でありうる。)がある。 zero (in data processing)
02.03.12a 2値 2個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 binary
02.03.12b 3値 3個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 ternary
02.03.12c 8値 8個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 octal
02.03.12d 10値 10個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 decimal●denary
02.03.12e 12値 12個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 duodecimal
02.03.12f 16値 16個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 sexadecimal●hexadecimal
02.03.12g N値 N個の異なる値又は状態をとりうるような選択又は条件で特性付けられることを表す用語。 N-ary
02.03.13a 2進●2進法 固定基数記数法において,基数として2をとること及びそのような方式。 binary
02.03.13b 3進●3進法 固定基数記数法において,基数として3をとること及びそのような方式。 ternary
02.03.13c 8進●8進法 固定基数記数法において,基数として8をとること及びそのような方式。 octal
02.03.13d 10進●10進法 固定基数記数法において,基数として10をとること及びそのような方式。 decimal●denary
02.03.13e 12進●12進法 固定基数記数法において,基数として12をとること及びそのような方式。 duodecimal
02.03.13f 16進●16進法 固定基数記数法において,基数として16をとること及びそのような方式。 sexadecimal●hexadecimal
02.03.13g N進●N進法 固定基数記数法において,基数としてNをとること及びそのような方式。 N-ary
02.03.14 階乗 1から与えられた整数までのすべての自然数の積。 factorial
02.04.01 スイッチング関数 有限個の可能な値だけをとる関数であって,その関数の各々の独立変数も有限個の可能な値だけをとるもの。 switching function
02.04.02 ブール関数 関数及び各独立変数のとりうる値が二つしかないスイッチング関数。 Boolean function
02.04.03 再帰的に定義された列 2番目以降の項の各々は,それに先行する幾つか又はすべての項をオペランドに含む演算によって定められる項の列。(注)再帰的に定義された列においては,通常,2個以上の有限個の定義されていない項があってもよい。 recursively defined sequence
02.04.04 写像する 他の集合中の量又は値との間に,定まった対応をもつ値の集合を確定すること。(例)数学的関数を評価すること。すなわち直接関係する独立変数の値に対して従属変数の値を確定すること。 to map●to map over
02.04.05 写像 他の集合中の量又は値との間に,定まった対応をもつ値の集合。 map
02.04.06 母関数 無限級数で表現されたときに,一連の与えられた関数又は定数を,その無限級数の係数としてもつ数学的関数。(例)関数(#数式有り)。 generating function
02.04.07 しきい値関数 一つ以上の引き数をもつ2値スイッチング関数であって,その引き数は必ずしも2値引き数である必要はないが,その引き数に関する所定の数学的関数が,与えられたしきい値を超えたときにはその関数の値が1をとり,それ以外のときにはその関数の値が0をとるもの。(例)次のようなしきい値関数。
例:次のようなしきい値関数
  g≦Tのときf(a_1,…,a_n)=0
  g>Tのときf(a_1,…,a_n)=1
  ここでg=W_1a_1+…+W_na_n
  ただし,W_1,…,W_nは実数の引き数a_1,…a_nに対する正の重みであり,Tはしきい値である。
threshold function
02.05.01 ブール演算(1) 各オペランド及び結果が二つの値のうち,一つをとる演算。(注)02.05中の個々のブール演算の定義,表1及び表2を簡単にするために,二つのブール値は“ブール値0”と“ブール値1”と書く。これ以外の値の対も,定義に矛盾することなく使うことができる。 Boolean operation (1)
02.05.02 ブール演算(2) ブール代数の規則に従う演算。 Boolean operation (2)
02.05.03a 2項ブール演算 二つのオペランドに関するブール演算。 dyadic Boolean operation
02.05.03b N項ブール演算 N個のオペランドに関するブール演算。 N-adic Boolean operation
02.05.04 ブール演算子 オペランド及び結果がそれぞれ二つの値のうちの一つをとる演算子。 Boolean operator
02.05.05 相補演算 あるブール演算に対する他のブール演算であって,同じオペランドに対してそれらの演算を行ったとき,第一のブール演算の結果の否定が結果として得られるもの。(例)論理和は否定論理和の相補演算である。 complementary operation
02.05.06 双対演算 あるブール演算に対する他のブール演算であって,第一のブール演算のオペランドの否定を第二のブール演算のオペランドとして演算したとき,第一のブール演算の結果の否定が結果として得られるもの。(例)論理和は論理積の双対演算である。 dual operation
02.05.07 一致演算 すべてのオペランドが同じブール値をとるときに限り,結果がブール値1になるブール演算。(注)二つのオペランドに対する一致演算は等価演算である。 identity operation
02.05.08 非一致演算 すべてのオペランドが同じブール値をとらないときに限り,結果がブール値1になるブール演算。(注)二つのオペランドに対する非一致演算は非等価演算である。 non-identity operation
02.05.09 等価演算●IF-AND-ONLY-IF演算●IFF(省略形) 二つのオペランドが同じブール値をとるときに限り,結果がブール値1になる2項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 equivalence operation●IF-AND-ONLY-IF operation●IFF
02.05.10 非等価演算●排他的論理和演算●EXCLUSIVE-OR演算 二つのオペランドが異なるブール値をとるときに限り,結果がブール値1になる2項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 non-equivalence operation●EXCLUSIVE-OR operation
02.05.11 論理積●AND演算 各オペランドがブール値1をとるときに限り,結果がブール値1になるブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 conjunction●AND operation●intersection
02.05.12 否定論理積●否定積●NAND演算 各オペランドがブール値1をとるときに限り,結果がブール値0になる2項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 non-conjunction●NAND operation●NOT-BOTH operation
02.05.13 論理和●OR演算●INCLUSIVE-OR演算 各オペランドがブール値0をとるときに限り,結果がブール値0になるブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 disjunction●OR operation●INCLUSIVE-OR operation●logical add
02.05.14 否定論理和●否定和●NOR演算 各オペランドがブール値0をとるときに限り,結果がブール値1になる2項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 non-disjunction●NOR operation●NEITHER-NOR operation
02.05.15 排他演算●NOT-IF-THEN演算 1番目のオペランドがブール値1,2番目のオペランドがブール値0をとるときに限り,結果がブール値1になる2項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 exclusion●NOT-IF-THEN operation
02.05.16 含意●IF-THEN演算 1番目のオペランドがブール値1,2番目のオペランドがブール値0をとるときに限り,結果がブール値0になる2項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 implication●IF-THEN operation●conditional implication●conditional implication operation
02.05.17 否定●NOT演算 オペランドのブール値と反対のブール値を結果としてとる単項ブール演算。(注)表2のブール演算表参照。 negation●NOT operation
02.05.18 否定する 否定の演算を行うこと。 to negate
02.06.01 精度 ほとんど等しい値を区別する能力の尺度。(例)4けたの数表示は6けたの数表示より精度が低い。しかし,適切に計算された4けたの数表示は不適切に計算された6けたの数表示より正確なこともある。 precision
02.06.02 多倍精度 ある一つの数を表すとき,精度を高めるために機械の語を二つ以上用いることに関する用語。 multiple-precision
02.06.03a 単精度 ある一つの数を表すとき,要求される精度に応じて機械の語を1個用いることに関する用語。 single-precision
02.06.03b 2倍精度 ある一つの数を表すとき,要求される精度に応じて機械の語を2個用いることに関する用語。 double-precision
02.06.03c 倍精度 ある一つの数を表すとき,要求される精度に応じて機械の語を2個用いることに関する用語。 double-precision
02.06.03d 3倍精度 ある一つの数を表すとき,要求される精度に応じて機械の語を3個用いることに関する用語。 triple-precision
02.06.04 誤差 計算,観測又は測定された値又は状態と,真の,指定された又は理論的に正しい値又は状態との差異。 error
02.06.05 正確 誤差のないものがもっている性質。 accuracy
02.06.06 正確さ 誤差の少なさの定性的評価。評価が高いことは誤差が少ないことに対応する。 accuracy
02.06.07 正確度 誤差の大きさの定量的測度。しばしば相対誤差の関数で表現される。この測度が高いことは誤差が少ないことに対応する。 accuracy
02.06.08 絶対誤差 計算値,観測値,測定値又は実現値から,真値,指定値又は理論値を代数的に引いた結果。 absolute error
02.06.09 相対誤差 絶対誤差と,誤差を含む量の真値,指定値又は理論値との比。 relative error
02.06.10 平衡誤差 誤差の集合であって,それらの平均値がゼロになるもの。 balanced error
02.06.11 偏り ある値の基準値からの系統的なずれ。 bias
02.06.12 偏り誤差 偏りによる誤差。(例)1.縮んだ巻き尺を用いた測定による誤差。2.計算の際の打切りによる誤差。 bias error
02.06.13 誤差範囲 誤差がとりうる値の集合。 error range
02.06.14 誤差幅 誤差の最大値と最小値との差。 error span
02.06.15 打切り誤差 打切りによる誤差。 truncation error
02.06.16 丸め誤差 丸めによる誤差。 rounding error
02.07.01 2進算術演算 オペランドと結果が純2進記数法で表現される算術演算。 binary arithmetic operation
02.07.02 有効けた演算 浮動小数点表示法の変形を使った計算法であって,オペランドの有効けた数が表示され,結果の有効けた数はオペランドの有効けた数,実行される演算及び有効精度から決まるもの。 significant digit arithmetic
02.07.03 あふれ●算術あふれ 算術演算の結果を表す数値の語のうち,数表現のために与えられている語長を超える部分。 overflow●arithmetic overflow
02.07.04 あふれ 演算の結果を表す語の,意図した記憶装置の記憶容量を超える部分。 overflow
02.07.05 下位けたあふれ●算術下位けたあふれ 算術演算において,絶対値が小さ過ぎるため,使用している記数法の範囲では表示できないような結果。(例)1.特に浮動小数点表示法が用いられている場合,結果が表示しうる0でない最小値より小さいときこの状態になる。2.許された範囲を超える負の指数が発生すると,結果は下位けたあふれになる。 underflow●arithmetic underflow
02.07.06 けた上げ数 ある数字位置の和又は積がその数字位置で表現できる最高数を超えるときに生じ,他での処理のために送られる数字。(注)位取り表記法においては,けた上げ数は次の大きい重みをもつ数字位置へ,そこでの処理のために送られる。 carry digit
02.07.07 けた上げ けた上げ数を送る動作。 carry
02.07.08 けた上げする けた上げ数を送ること。 to carry
02.07.09 循環けた上げ けた上げ数を最上位の数字位置から最下位の数字位置へ送る動作。(例)減基数の補数で表現されている二つの負数を加えるとき,循環けた上げが必要となる。 end-around carry
02.07.10 借り数 ある数字位置の差が算術的に負のときに生じ,他での処理のために送られる数字。(注)位取り表現法においては,借り数は次の大きい重みをもつ数字位置へ送られる。 borrow digit
02.07.11 循環借り 借り数を最上位の数字位置から最下位の数字位置へ送るerror
02.06.13 隱、蟾ョ遽